重症心身障害者施設で働く

重症心身障害の合併症への理解を深める

合併症も理解しておく

看護師として携わるなら重症心身障害の合併症についての理解も求められます。頻度の高い合併症をピックアップして紹介します。

合併症も理解しておく

それぞれ状態が異なる

重症心身障害の原因は様々です。重症心身障害者施設にはそれぞれ異なる疾患を持つ人が入所しているので、幅広く対応しなければなりません。重症心身障害というのは医学的病名ではなく行政的な用語と捉え、それぞれの症状を理解した上で対応することが大切です。とはいえ、手厚い看護が必要な状態である点は変わりません。重症心身障害は何らかの合併症を発症するケースが多いです。どういった合併症があるのか、事前に確認しておきましょう。

主な合併症

頻度の高い合併症としてまず挙げられるのが、呼吸器感染症です。肺炎などの重症呼吸器感染症は命に関わるので十分に注意しなければなりません。近年は医療の進歩により感染症に対する意識が低くなっていますが、軽い風邪であってもそれが後に重度の肺炎につながることもあります。通常よりも早期かつ強力な治療に取り組まなければなりません。看護師として対応する場合、最も注意しなければならない合併症の1つです。治療の際は抗生物質を使いますが、それと同時に呼吸状態を改善するための処置も実施します。
加えて、自力で痰を出せない人は肺の一部に空気が入らなくなる無気肺になるリスクがあります。低酸素状態が続き心不全を起こす可能性もあるので、呼吸機能の状態は常に観察しておきましょう。喘息の重症化にもつながるため、早めの処置が必要です。
てんかんによる発作にも注意が必要です。重症心身障害の場合、通常よりもかなりの高確率で発症します。命を脅かすほどの発作はそこまで多くありませんが、周辺環境などを考慮した上で適切に対処する必要があります。薬の副作用との関係もあるので、無理に発作を止めない方がいいケースも少なくありません。
便秘が多い人は腸閉塞を発症するリスクが高まります。また、消化器の機能障害が伴うと胃酸が食道に逆流します。吐血や潰瘍の原因になるので注意してください。便秘の予防や早期の処置、体位変換、症状に応じた内服などが必要です。
消化機能の低下による合併症の処置だけでなく、栄養管理も求められます。運動量が少ないと必要熱量も低下するため、食事量が少なくなる傾向にあります。しかし、それによって必要な栄養を摂取できなくなると、何らかの合併症を発症するリスクが高まります。口から食事を摂れない場合は注入食を利用することになりますが、長期的に続ける中で偏りが生じる可能性もあるため、食事量だけでなく質に対する意識も強く持ちましょう。

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